2013年6月18日火曜日

大学で英語を学ぶということ、明海大学で英語を学ぶということ

先週の「はじめまして、大津です」講演では、主に明海大学の学部生と院生のみなさんに宛てたメッセージの部分が急ぎ足になってしまったので、改めてこのブログで取り上げたいと思います。今回は学部生へのメッセージです。

わたくしが担当する英語学概論の冒頭でつぎのことを言いました。《みなさんは明海大学の英米語学科の学生であるが、どうしてここで学ぶのかを考えて欲しい。もちろん、「ここしか、行くところがなかった」という、きわめて現実的な理由で来た人もいるだろうが、仮にそうであったとしても、せっかく、ここにこうやって集ったのだから、ここで学ぶ意義を攻撃的に考えて欲しい》。

みなさんは考えました。「英語が使えるようになりたいから」。了解。でも、それなら、英語学校という選択肢もあったよね。「大学卒」という肩書が欲しいからという率直な答えもあった。「高校時代にはあまり学校へ行けなかったので、大学ではきちんと学びたい。そのためには4年間が必要なのだ」という答えも出た。

いろいろと意見が出てくるうちに、「ここは大学で、英語だけでなく、経済学も、文学も、自分の意志でいろいろと学べるから」という意見が飛び出しましたね。そこがとても大切だと、わたくしも思います。ただ、そこから先はみなさん自身で考えを詰めてほしいので、教室での話し合いはそこで終わりにしました。

その後、考えましたか。

わたくしはこう思っています。大学の英語関連の学部や学科では、単にTOEICやTOEFLのスコアを上げるための対策だけでなく、英語という言語の仕組みや働きについて学びます。その過程で、英語の歴史に触れることもあります。英語が現代社会において果たしている役割についても考えます。翻訳・通訳の理論を学び、実践することもできます。別の言い方をすれば、TOEICやTOEFLのスコアを上げるためだけということが目標なら、とても回り道のように思える英語学、英語文学、英語教育、異文化コミュニケーションについて学び、かつ、考えなくてはなりません。

でも、じつは、そうした訓練を受けることで、英語をほんとうに使いこなすためのきちんとした基礎ができあがるのです。よく英語が「ペラペラに」なりたいという人がいますが、単に、英語の単語がどんどんと口をついて出てくるということだけでは英語に使われているようなものです。

でも、これだけなら、ほかの大学でもできます。なぜ明海大学の英米語学科なのでしょう。理由はいくつかあります。そのなかでも一番大切なのは「ことば」という視点をはっきりと持った訓練がなされているという点です。これは英米語学科が属する外国語学部が応用言語学研究科という大学院を持っていることと関係があります。応用言語学研究科については改めて書きますが、そこでの最大の特徴は基礎言語学の基礎(妙な言い方ですが、「基礎言語学」というときの「基礎」とは《応用目的を意識することなく、ことばの本質に迫ることを第一義とする》という意味です)をきちんと築くという点にあります。その研究科の専任スタッフの大部分は外国語学部の教員ですので、英米語学科を含む外国語学部の教育に「ことば」という視点が取り込まれていることは自然です。

具体的に言えば、英語という個別言語がみなさんの母語(多くの人たちにとっては日本語ですが)と、その仕組みや働きの上で、どう関連しているのか、(外国語学部の中に学科が設けられている)中国語とはどのように関連しているのかなどがきちんと学べます。加えて、文学、異文化コミュニケーション、翻訳・通訳理論/実践などの視点が加わります。

どうです。みなさんがとても魅力的な環境にいることがわかったのではないでしょうか。でも、これはあくまで、みなさんが置かれている環境です。それを活用しなくては何もなりません。先生との触れ合いが授業のときだけというのでではあまりにももったいない。科目をとっていない先生とは話もしないというのではあまりにも消極的です。幸い、いまは電子メールという便利な手段があります。メールを活用して、アポイントメントをとり、先生たちと積極的に話し合う。1人で来るのがたいへんなら、仲間と一緒に来ればいいじゃない。

そうやって数年を過ごしたら、結果として(ここ、大切ね、それ自体を直接目指すのではなく、あくまで「結果として」)TOEICやTOEFLのスコアも上がります。しかも、身につけた英語力を活かす力もついているから、いろいろなことができます。

わたくしのメールアドレス、知っていますよね。oyukio[@]meikai.ac.jpです。実際に送信するときには[@]は@に換えてください。えっ、なんでそんなまどろっこしいことをするかですか。まずはメールで尋ねてください。

あ、この記事を読んでいる高校生のみなさん、みなさんからの連絡も大歓迎ですよ。メールを送ってください。


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